窖窯

梅雨の晴れ間、ミニ窯作りを進めた。先日、教室の生徒さんに作業の雑さを指摘されてしまった。

ここはこれでいいんですか?水糸は張ってないんですか?

自分でも薄々感じていた。しかし、見て見ぬ振りもさせてもらえなくなり、今日は水平を取る水糸を張り、モルタルも丁寧に練って、心を入れ替えて作業を進めた。煉瓦を水平に積むのに、今までは百均で買ってきた水平器のみを頼りにして来た。今日確認したところほとんど傾きもなく、一安心した。指摘に感謝だ。傾かないように、曲がらないように、と煉瓦を積みながら、土木や建築の現場がどのようなものか、考えがめぐる。高層ビルの最上階まで、すべて水平なフロアが積み重なる。当たり前だと思っていたことが急に凄いことのように感じてきた。しかし、超高層ビルもこれにはかなわないな、と感じたのは、エジプトのピラミッドだ。人が他人にリアルに共感できるのは、想像力を使っても、自分の経験の延長線上迄だ。昨日までの自分は、ピラミッドを作ることは大変だとは言いながら、わかってはいなかった。今日の自分は昨日の自分に言う。あのでかい石を水平に並べていくの本当に大変だから。水平器も無いし。最後の一個、はまらなかったら、やり直しだから。そうですよね。古代エジプトの人に同意を求める。しかし、いやいや、あなたも本当の大変さは全然わかってないから。と言われる。

窖窯のつくり方をインターネットで検索をすると、ピザの話がちょいちょい出てくる。そこここの窯作りの現場で同じようなやり取りがされている。