「春の灯火のこと。」
歳時記をめくっていて見つけた。読んで字のごとく。
日が延びて、気候も良くなり、日暮れまで戸外で過ごす時間が増えてくる。夕暮れに灯る灯りに情緒を感じる。そんな情景を表しているのかな、と想像してみる。先週、灯りをテーマにした展示会をやったばかりだ。良い時期にやれたということになる。
ずっと前に、宮尾登美子さんの「春燈」を読んだ。著者の自伝的な小説で、読み終わってしばらく、切ない気持が尾を引いたのを覚えている。辛い経験が、時間が経つにつれて美しい記憶になることがある。春燈という言葉は、そのニュアンスにぴったりだと思う。